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お題「好きな街」

 

僕の生まれた町はマジで田舎です。畑ばかりでそれこそ数km先に隣家がある感じです。

人が少なすぎて保育園、小、中とずっと同じクラスメイトでしたし(高校はさすがに街に出てみんなバラバラになりました)、遊ぶとこもないし、一軒のセイコーマート以外何もない町ですが、確かにこの町を愛していました。

(コンビニあるやん、とお思いかもしれませんが、セイコーマートは明らかに熊しか住んでないような山奥でもぽつりと存在している様な特別な存在なのです。そのような店舗の従業員はどのように生活しているのでしょうか。)

 

思えばあの頃が一番楽しかった時期かもしれませんね。

 

話が逸れますが、小学2年生くらいの時に一度東京に旅行に行ったことがあります。都会というものを経験したのはあれが初めてのことでした。

その時驚いたのはあまりの人の多さです。どこにいっても人しかいなくてもみくちゃです。あまりに居心地が悪く、その日の夜は人に酔って体調を崩したのを覚えています。

僕には田舎が合ってるんだ、将来は絶対田舎で暮らそう。この時からそう思っていた気がします。

 

そんなこんなで高校を卒業し、大学進学のため田舎を離れることになりました。

進学に伴い、札幌近郊に一人暮らしを始めました。あのときはとにかく不安でした。幼い頃の東京の記憶、新しい環境への不安、一人暮らしへの不安…

引っ越しも済み両親と別れた後、一人になった部屋の中で寂しさと不安のあまりさめざめと泣いた事を今でも覚えています。

 

初めの一週間位は非常に寂しく不安な毎日でした。しかし、毎日を過ごしているうちに、都会――そして大学では、田舎とは違い色々な場所から色々な人間が集まっているということに気づきました。

高校では部活動以外、クラスでは仲間もおらず完全な陰キャぼっちでしたが、そのような多様性のある環境であれば、自然に価値観の合う仲間も自身の居場所も見つかってくるものです。なので、気の合う友達もできそれなりに楽しく4年間を過ごせました。

 

都会というのは冷たい人間ばかりだと思いこんでいました。でもそれは当たり前のことです。人間は皆特定のコミュニティの中にいて、その中で暮らしているわけです。都会では人が多い分無数の価値観があり、それぞれのコミュニティがあります。それ以外に干渉しないことは人間として当たり前のことでもあります。

都会には多様性があります。僕のような人間にはむしろ暖かい場所でした。

 

しかし田舎には一つのコミュニティしか存在しないのです。団結することはメリットともとれますが、多様性の無さというデメリットともとれます。もしその価値観からあぶれた場合、居場所を無くしてしまうのです。

僕はそれに気づけなかったのです。

 

愛するこの土地に戻ってきてこの土地のために働こう、そう思って就職活動をしておりました。

結果、Uターンして地元では誇れるような職場に就職できました。両親も喜んでくれました。

でも、結果的に僕はその土地の価値観にも仕事にもあまり馴染めませんでした。誰も彼も体育会系で酒、ギャンブル、女です。それ以外存在しません。

人生、大抵のことは時間が解決してくれるというのが僕の考えです。僕だって嫌でもこの場所へと馴染んでいくのでしょう。でも最近、それでいいのかなあ、と疑問を感じています。

ここに馴染むことはすなわち夢を捨て、自分を捨て、培ってきた自分の価値観を捨てることです。

 

親を安心させられるように、地元のために、と人生を歩んできましたが、自分自身がどう生きていきたいかなんて今までこれっぽっちも考えてませんでした。それとも、自分に忠実に生きる事に悪を感じ、考えないようにしていたのかもしれません。

それに気づいたときにはもう遅かった。今方向転換することもできるっちゃあできるでしょう。でもそのトンネルを抜けた先が明るいのか?保証はありませんし可能性は高くないでしょう。

 

もうその日生きる金があって細々と生きていければよくないか?

でも現実問題そんな生き方ができるのも若いうちだけでしょう。

これからどう生きていけばいいのか?

最悪行き詰まったらそこで終わりにすればよくないか?そこまでして全うな地位にしがみついて社会で生きていく意味はあるのか?

 

本当にぼくはこの街が好きなのか?

 

毎日自問自答の日々です。